…時代は変わる。…

ここ一ヶ月の間に津軽塗の長老が二人もなくなってしまいました。藤田清正さんと須藤八十八さんです。

 

藤田さんと初めてあったのは、工業試験場で練習生の面接の時でした。結果は断られたのでしたが、それがなければ、三上勝三さんに会うことはできなかったと思います。勝三さんは私に好きなように仕事をさせてくれました。後年、「どうせ、すぐ辞めると思っていたから好きにやらせたんだ。」といっていました。藤田さんには、その後会ってもお互いわだかまりはありませんでした。若い人達とグループを作り、藤田さんを講師による週に一回ぐらいのペースで二年間ぐらい勉強会もしました。漆かきの見学にも行きました。解らないことがあるとよく試験場に話を聞きに行きました。そんな時よく、お茶を飲みながらこれからの漆のこと津軽塗のことなどを情熱的に語ってくれました。知りたいことには、ほとんど答えてくれなくてもけっこうその話がおもしろので聴き入ってしまったものです。二年くらい前、車から見かけた時少しやせたなーと思って見かけたのが最後でした。

八十八さんは、勝三さんのライバルみたいな人でした。勝三さんがそう見ていたのかもしれません。研修でも二人の意見がぶつかることもよくありました。叉そのぶつかり合いが勉強になったのです。どちらも正しいのですが、自分の主張を曲げない。私は、勝三さんの組合の仕事をしていましたから、八十八さんの意見は、興味深いことが多かったものです。そんなやり方もあるんだと思うことがたびたびありました。私も十年以上仕事をしてある程度仕事ができるようになってからは、会うたびに「工藤君、いつまで組合のしごとするんだ?早く自分の仕事しなさい。」といわれました。そのたびに「勝三さんには恩があるから。」といっていました。今のような仕事を始めてからは、なかなか会う機会も少なくなりましたが、”城倉可成展”であった時、「工藤君、作家仕事がんばってらが・・」といったので「あたりまえの仕事、普通の仕事はがんばっています。」というとニヤリと笑った顔が思い出されます。藤田さんと須藤さんは、奈良さんのところで修行した,兄弟弟子でした。

そんな訳で、叉一つ時代の転換期が来たような、私の先輩が少なくなるのは寂し限りです。 合掌