2008年9月

三辺地

三辺地 これで三辺地も上がりました。 この仕事を始めたのは八月の中頃からですから ここまでくるのに一月以上かかっています。 時間がかかっても必要だと思う仕事はきちんとした方が あとから後悔しないと言うことは確かなことです。


三辺地 二辺地と同じように三辺地をつけていきます。 薄く何層にもなるようにつける下地の 大切さがなかなか理解されないし そういう仕事も仕上がってからは解るはずもありませんから 記録として残すことも大事な気がします。


二辺地

二辺地 これで二辺地が決まりです。 下地の仕事の面白いところは 下地が仕上がっていくごとに少しずつ 手になじむような重さになっていくことです。 つまり”お手頃な重さ”になっていくのがよく解ります。


二辺地 下地をつけるのも段取りよく仕事をしなければ能率も 上がりません。自分なりの段取りとマニュアルを しっかりもっているのもっていないのでは材料の無駄や 作業手順にいろいろと問題が出ます。


二辺地 地磨きをして二辺地をつけていきます。 同じことの繰り返しですが きちんと仕事をしていきます。 下地の仕事は地味かしれませんが 根気よくすることが大事だと思います。


一辺地

一辺地 これで一辺地をつけ終えました。 下地はともかく根気をどれだけ持続させるかが 問題です。 見えないところの仕事は本当に大事だと思います。


一辺地 こんなふうに地をつけるところが六カ所ありますから それにあったへらを用意しなければなりません。 仕事を覚えるためにはやはり数をこなすことが一番だと思っています。 身体と気持ちの緊張感を維持できるから自然と技術が身につくと思います。


一辺地 ここから本格的な下地に入ります。 ともかく厚くつけることはしないように へら付けをしていきます。 つける順序も段取りよくしなければなりません。


くくり

くくり 布と木地の段差を埋めるために地で境目を埋めていきます。 弘前ではこれを”くくり”と言います。 東京では弘前で言うところの”面”をたてることを ”くくり”というみたいです。そのほか弘前では”さいで” 東京では”さいでん”、”からい” ”しぶい”、と 言葉が同じでも違いがあったり、同じことでも 言い回しがちっがったりしてなかなか面白いと思います。


布払い

布払い 布の重なりや余分な糸くずなどをきちんととり省いておきます。 この仕事を丁寧にしなかったらあとで布がでたり、 布のふくらみがでたりしてたいへんなことになります。


布着せ

布着せ 椀の中の布張りは漆をからめにいれて 布が浮くことの無いように貼っていくことが大事です。 この布張りをすることによって下地の手抜きができなくなるのです。


布着せ 木固めが乾いたら全体を磨き布張りをします。 まず口から貼っていきます。 木目と 布目をきちんとそろえることが大事です。


布着せ 口を貼ってしまったら高台にかかります。 むらにならないように腰の柔らかいへらで 十分に漆をつけて仕事していきます。


木固め

木固め 内側を木固めして少しおいておくと漆が外側にしみ出してきます。 一般に木固めは生漆ですることになっていますが 私は一種の呂瀬漆と言うよりもほとんど素黒目漆で木固めをしています。


木固め 木固めは本当に大事な作業だと思っています。 私が津軽塗をしていたときはこの木固めというのを ほとんどしたことはありませんでした。 本当はやればいいのを知っていましたが組合のマニュアルには 無かったのでした。


こくそ

こくそ 木地をよく吟味してみると必ずフシがみられます。 これをきちんとこくそ彫りをしておかないと クラックの原因になります。 ほんの少しの見落としもできません。


こくそ 木地の半分以上はこくその必要がありました。 コクソの前に木固めをするというマニュアルもありますが それはそのときそのときで代わってもいいと思います。 このやり方がベストだと言うことは漆の仕事ではないと思っています。


お椀の木地

木地 注文していたお碗の木地がようやく届きました。 地震などがあって予定より遅れましたが これで一安心です。一仕事は100〜120個ぐらいが丁度 仕事がやりやすい数です。


木地 この木地は旧大野村の佐々木さんが挽いてくれたモノです。 このくらい薄く挽いたモノはきちんとした下地をしなくてはなりません。 それが又楽しい仕事なのです。


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